雨の歌

コラム

雨の歌

柊クイチ [2012/5/6]

ここしばらく、ずっとぐずついた天気が続いています。GW中盤(このコラムを書いているのは2012/5/3です)となりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

たまの晴れも2日とはもたないので、私事ですが太陽が顔を出すのを見計らって洗濯物を済ませる日々です。こんな時ばかりは『乾燥機付き洗濯機にしておけば良かった……』と切に思います。

さすがにこう雨が続くと、せっかくの大型連休なのに出かけるのも気が重たい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大雨警報が出たところもあるそうですし、5月の観測史上最高値を更新した地域もあるとか。
低気圧の影響だそうですが、交通機関も運転の見合わせが発生するなど、休みがこれではちょっと残念な気もします。

雨といえば、日本には雨に関する言葉がたくさんありますね。
五月雨(さみだれ)、時雨(しぐれ)、秋雨(あきさめ)梅雨(つゆ)、慈雨(じう)夕立(ゆうだち)、霧雨、菜種梅雨(なたねづゆ)、卯の花腐し(うのはなくたし)、狐の嫁入りなどなど……字面を見ているだけで大体の想像がつくものも多いです。

雨をテーマにした俳句も実に多く、いくつか挙げてみるとこんなところでしょうか。

・初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也(松尾芭蕉)
・朝顔や したたかぬれし 通り雨(小林一茶)
・春雨や 降るとも知らず 牛の目に(小西来山)
・落ちつみし 椿のうへを 春の雨(松岡青蘿)
・春雨や小磯の小貝ぬるるほど(与謝蕪村)

雨に関しての豊かな表現を見ていると、日本は本当に水の国なのだなあとしみじみ思います。

ところで旧暦で5月は皐月(さつき)、6月は水無月(みなづき)というのですが、現代の感覚だと『6月が水無月とは?』と思いますよね。
6月といえば梅雨で、1年中で一番雨が降り続く時期なのですが。
これに関しては、実は私も不思議に思って学生時代に調べたことがあるのですが、旧暦と現代の暦はおおよそ一ヶ月程ずれているのだそうです。具体的には現代の方が一ヶ月程前倒しとなっています。

となると旧暦の5月は現代の6月、旧暦の6月は現代の7月にあたるので、その時期の気候等を考えるとなる程、と手を打ったのを覚えています。

少し話が逸れましたね。
何にしても、雨は必要なのものとはわかりつつも、少し憂鬱なものです。そんな雨にたくさんの名前をつけたり、或いは歌を詠んだり、雨そのものを楽しむ方向に持っていった人々に思いを馳せると、鬱陶しい雨の日も、なかなか楽しい気持ちで過ごせるような気がします。